取引先の話である。
先日、海外から「電子税金計算書はありますか?」と問い合わせがあった。目が点になった。「一体何だそれは…」。あとからグーグル検索で分かったことだが、それは今年の10月から施行されている日本のインボイス制度が、どうやら海外では以前からネット上で実施されている。登録ばかりか、ダウンロードから送信まで、自由に申告書のやり取りができるらしい。愕然としたそうである。
「付加価値税を導入しているOECD諸国の中で、いまだに帳簿方式を採用していたのは日本だけだった…」
隣国を例に取ろう。韓国ではインボイス制度の実施(2010年)にあたり、登録番号をもった事業者(韓国では免税事業者も登録番号をもてる)が、国税庁サイトに会員登録するべく推し進めた。国税庁サイトに取引内容を入力してこそ、公式的にデジタルインボイス(課税事業者)やデジタル領収書(免税事業者)が、それぞれ発行される。税申告に必要な確認書類が、リアルタイムで国税庁を中心にデジタル共有される仕組みだ。
カード決済や電子マネーなど、キャッシュレスの進んだ韓国では、領収書の保管が必要ない。必要に応じてネットで一括ダウンロードするだけだ。戸籍謄本や外国人在留の証明書まで、何もかもネットで即時にダウンロードできる。すべてがデジタルで共有されている。そのようになって以来、10年以上が過ぎた。
インボイス制度のデジタル化(紙請求書の全面電子化)によって、これまで手作業でやっていた会計仕訳、精算、税申告など、企業の様々な業務が、効率よくリアルタイムで処理される。韓国のデジタル化は、インボイス導入を推進中の日本の未来にとって、大きな道標となるかもしれない。
日本の財務省・国税庁・デジタル庁も「税務のデジタル化」に向けて多くの検討を重ねている。よりよいかたちでデジタル改革がなされることを、官民一体で念願している。
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